これから僕らはどうなってしまうんでしょうね――



淋しそうに彼が言うから。



僕は いつだって こう答える。



そんなに、
そんなに不安なのなら



君が―――








風の音で目が覚めて、丁度同じようにゆっくりと眼を開ける彼と眼があった。

「起きて・・・いたんですか」

彼の問いに軽く首を振って、今起きた所だと告げる。
次の日も仕事だろうにと彼が言うのに構わず、眠る気がしなくなった――と、彼の身体を抱き締める。

「あまり、起きていると・・・からだを、壊しますよ」
「何。君が心配してくれるの」
「当り前じゃないですか・・・仮にも、僕は、貴方の・・・」

答えきる前に、額にキスを落とす。
彼は、言葉の先をしまって、大人しく僕の腕の中におさまった。

彼が腕の中でぼんやりと、風が激しく叩く窓を見つめる。



外を見たままで、彼がぽつりとつぶやいた。

「これから―――」
「え?」



これから、僕らは、どうなってしまうんでしょうね



「どう――って?」
「いえ」

彼は、腕の中でクスクスと、それでも淋しそうに笑った。

「こうして、貴方に触れるまで、僕は貴方に触れる未来ばかり求めて来ましたから」


僕らがこうして彼に触れられるようになってからのこの行為は何度めだろうか。

彼の腕が自分の首に回されるのは。
彼の笑みが自分に向けられるのは。
彼の唇が自分の唇に触れるのは。


「触れられるまでは、あんなに待ち望んだ事なのに――いざ、触れられてからは、」

不安なのだと、彼は口には出さなかった。
僕も、口を開く事をしなかった。

それ程、互いに触れられなかった時間が、僕らには長かったのだと実感する。


互いに、愛を、口にはして来たけれど。
互いに、聞き取れない想いを、送り合っては来たけれど。


こうして、触れあうのは。


これから、僕らはどうなってしまうんでしょうか


そんな風に、淋しそうに、彼が、口を開くから。



「ねえ」
「はい?」


何をそんなに不安になるというんだろう。
君は、とても大事なことを、忘れてる。


「僕は、今まで、出来る事はしてきたつもりだよ」


君の傍で、君を抱いて、眠る為に。


「だから、今度は、君の番だ」


キスをするような気持ちでいい。


「だったら、」


そう、これからは、君だって。




僕は、彼にゆっくりと口付けた。






これから僕らはどうなってしまうんでしょうね――




淋しそうに彼が言うから。



僕は いつだって こう答える。



そんなに、
そんなに不安なのなら



君が―――




「 君が、愛を語れ 」







何時も通り、後悔はしていない。
でも、今度ばかりは反省はしている。

AS/KAの「君が/愛を語/れ」

凄く好きな曲だったので、書いて見ちゃったよ・・・

back