(おかしい。)

(絶対におかしい。)

一昨日から夏休みである。

今年は獄寺の必死のサポート(おもに宿題の転写)のおかげでギリギリ補修なしの、面白おかしく、且つぐだぐだと、楽しいお休みが始まったはずであった。


なのに―――


「何で俺、学校に来てんだーーーー!!?」


綱吉の叫びが並盛中学校のグラウンドに響き渡る。

午前9時。
朝寝坊の得意な綱吉にはまず考えられないことであった。


「あーもー。なんでなんで・・・・ってわかってるけどさぁ・・・」


休みに入ったのに楽しくない。

一昨日から夜眠れなくて朝早く目が覚める。

そわそわして仕方がない。

その原因が休みに入ってから、当然のように見かけなくなった学ラン腕章姿だとは、口が裂けても言えないことである。

ただし、綱吉専属の小さな家庭教師はとっくにこのことはお見通しだったのだが・・・

「はぁ・・・俺、京子ちゃんが好きだったはずなのになぁ・・・」
自分を学校へと駆り立てる原因が、いつからシフトしてしまったのか。

おまけに、あの頃は学校が休めること自体は万々歳だったのに、今では学校を休むことすら嫌になっている。

「来てるわけ、ないよね・・・。」

ついつい、目線が応接室の窓へと向かう。

彼の城。

なんだか情けなくなって、学校に背を向ける。

女々しいなぁ、俺――と心の中で呟いて、思い切り息を吐き出した。

(今頃何してんのかな―――)

「―――――ヒバリさん・・・」
「何?」
「うおぉおぅおおお!!?!?」

叫びつつ振り返った先に、見慣れた制服姿があった。

「変わってるね。君は。いつも雄叫びをあげてる。」

真っ白なYシャツと真っ黒いズボン。さすがにこの暑さで学ランを羽織ってはいないが、半袖のYシャツの袖には、しっかりと風紀委員の腕章をつけている。


「ひひひ、ひ、ひ、・・・・ひばっ・・・」

「何笑ってるの?」

いつも通りの仏頂面が、何故だか神々しく見える。

(あぁ・・・すごく久しぶりな気がする・・・)
知り合ってから、何故だか―リボーンの勧誘のせいもあって―よく遭遇するし、何しろ、目立つ。

姿がというより、オーラと行動と被害者の山が。

そうでなくとも、綱吉は大体遅刻ギリギリに校門をくぐるので、遅刻者チェックに来る雲雀の姿はほぼ毎日拝んでいる。
今では、毎朝それが楽しみでギリギリに行くようになってしまった。

もちろん、本当に遅刻などした日には、明日の朝日どころか、次の瞬間の太陽も拝めなくなるのは確実だ。


「今日は・・どうしたんですか?制服?」

「あぁ、コレ?」
そう言って、襟元を引っ張る。
白い鎖骨が少し見えて、なんだか、雑誌のモデルのようであった。

(かっこいい・・・・)

「好きなんだよ。制服が。」
「あ、そーなんですか。」

ホントに並盛が好きなんだな――と少し微笑ましく思ってしまう。

「―――アレ?」

「・・・・何?」
「腕章が・・・ビニールだ・・・・」

「・・・・」


不機嫌そうに黙りこくった雲雀の腕にあるのは、いつもの刺繍された腕章ではなく、世間一般の大好きなビニール製だった。


「クリーニングに出してるんだ。全部。」

「全部!?」

「夏休みだからね。」
「へぇ・・・・ヒバリさんが、ビニール。」



他愛もない会話ができていることにテンションが上がってくる。
綱吉がルンルンと顔をあげると、雲雀の不機嫌そうな顔が思ったよりも近くにあった。
「僕は仕事で来たんだけど・・・君は、何で学校なんか来てるの。補修者のリストには入ってなかったでしょ。」

「はぁ、まぁ・・・―――ってか、補修者のリストって風紀委員の手にもわたってるのーーーーー!!!?」

「意味なく学校を徘徊されても困るんでね。」

え、それって俺ヤバくないですか?――とか思っているうちに、雲雀がくるりと背を向けた。

「あ・・・」
引き留めようと手を伸ばしかけた綱吉に一言。

「何してるの?早くついてきなよ。」
「へ?」
間抜けぶり全開で首をかしげると、


「せっかく来たんだから、風紀委員の仕事、手伝ってってよ。」

「え、あ、ハイ!!」


(ヒバリさんが、自分から誰かを誘った・・・・)

2人じゃ“群れる”に入らないだろうし、いつも、他の風紀委員に手伝ってもらうこともあるのだろうし、本人の気まぐれなのだろうが、特別視されているような気がして、なかなか上機嫌の綱吉。


そして、綱吉にとって、楽しい夏休みが始まったのだった。









初めての1827。
しかも、作成場所が電車の中だったので、なんだか大変なことに・・・
暫く小説自体書いてなかったので、文章がグダグダ・・・・orz


back