注意(説明)
・イシュトとナリス様は、〈新宿〉(妖物がうじゃうじゃいる街)に同棲しています。
・2人とも、本編世界で死んでから、この街に来ている・・・んじゃないか?くらいのノリです(は?)
・つまりは、本編は無視して下さい。
・関係的にも、本編のような濃ゆ〜い関係じゃないです。(イシュトはナリス様呼び捨ててますし)
・何か吹っ切れたの?2人とも、見たいな感じです。
・ナリ様とか、ヴァレリウスはどうした!!見たいな感じです。
・この話を書いた当時の、
烏兎の本編読了は2・30巻あたりだったと思います。(つまり、2人の関係はまだまだ緩かった・・・/涙)
・でも、話自体は、どの巻読んでても大丈夫です。何度も言いますが、本編関係ないので。
・まだまだ、何も知らないな、烏兎よ・・・な時期のもの、ということです(は?)

こんな感じですが、大丈夫な方のみ進んでくださいませ。






「戦、戦、戦ぁ!!」
シンプルだが質は最高級であろうソファにどっかりと腰を下ろし、テーブルに足を投げ出した恰好で、イシュトヴァーンは大声を上げた。
浅黒い肌は、窓から射す夕映えに染まり、漆黒の瞳も妖しく燃え上がっている。
その炎のように紅い液体が、注がれたグラスをグイとあおぎ、空になったグラスを乱暴にテーブルに投げ出した。
「ちょっと。それは私のお気に入りなのだから、もう少し優しく扱ってくれと、さんざん言っているでしょう、イシュト?」
突然掛けられた声に、さも煩そうに美麗な眉を顰めながら、イシュトヴァーンは振り返った。
「・・・煩せぇな、ナリス」
華奢そうな両手に分厚い書物をいくつも積み上げたアルド・ナリスは、言葉とは裏腹に楽しそうな様子でイシュトヴァーンのところまで来た。
「ほら、これは足を置くものではないよ」
知ってらぁ、などとブツクサいいながらも渋々降ろされるイシュトヴァーンの浅黒く逞しい脚を横目に、ナリスは持っていた書物の山をテーブルに置いた。
「・・・・また、ややこしい、訳もわからんもの持ってきやがって」
「何を言うの?こんなに素晴らしい、私の心をわくわくさせて止まぬものはないよ、イシュト」
そう云って積み上げた一番上の本を取りながら、ナリスはイシュトヴァーンの横に腰を下ろした。
本を膝の上に置き、いかにも古そうな表紙を開く。
「戦、戦とそんなに騒いで・・・仕事は?」
視線は膝の上に置いたままナリスは問うた。
「仕事なんて、大層なもんじゃあねえよ。俺はやりたいからやってるだけだ」
「でも、みんなは君のことを尊敬し、頼ってくるじゃないの。〈夕映えのドール〉と」
「〈夕映えのドール〉、ね・・・」
イシュトヴァーンはその名を繰り返しながら、窓に区切られた、徐々に暗くなっていく西の空を眺めた。
「やっぱり戦場はいいな。大勢の傭兵の中に紛れて剣を振るう・・・。今の“仕事”とやらも、満更でもないけどな。なかなか、経験できない面白さがあってよ」
「確かに、ね。イシュトの仕事も、私がこの本をこうして膝の上に乗せて開いていることも、ここでしか経験できないだろうね」
ナリスは、愛おしそうに本の頁を撫でながら呟いた。
「この、魔界都市でなければ、ね」



「仕事と云えば、イシュト。昨日は大変だったみたいだね」
「あん?」
いきなりの事に、イシュトヴァーンは、窓に向けられていた瞳を隣に腰掛ける美貌の男に向けた。
「聞いたよ。何でも、高田馬場の大学キャンパス内にいた妖物を倒したんだって?」
「ああ?――ああ、あの気色の悪い奴か。適当にうろついて、休もうと思ってでっかい建物ん中に入ってったら、いきなり向こうから襲って来たんだよ」
「最近住み着いて困っていたらしいけど、区の方で何の対策もとっていなかったってことは、結構強かったのじゃない?」
「ふん。多少手こずったけどな、屁でもねえよ、あんなもん」
多少得意気になってイシュトヴァーンは云った。
「結構な騒ぎになっていたよ。妖物ハンター〈夕映えのドール〉イシュトヴァーン、とね」
「当り前だ。何せ俺は、ヴァラキアのイシュトヴァーンだからな」
昨日の情景を思い出しているのか、さっきまでとはガラッと変わり生き生きとした様子でほくそ笑んでいた。
しかし、一方のナリスは、そんな彼に気付いているのか否か、その視線は書物に釘付けのままであった。
その様子を不満げに眺めながらも、それを覗き込むイシュトヴァーン。
「文字なのか絵なのかさえ分かんねえな」
「これは宇宙開闢論についての本だよ」
「うちゅうか、い・・・何だって?」
「宇宙開闢論。この世界――宇宙というものがどのようにして誕生したのか、という最大の謎について書かれているんだよ。これには、諸説が簡単に紹介されているだけなんだけれど、一番有力視されているのが“ビックバン”という――」
「だあぁ!もう、バカにしてんのか。解んねえよ」
「あ、ごめん。つい、ね。でも、不思議に思わない?どうしてこの世界が誕生したのか、どうしてこの星――今、私たちの居るこの大地は、丸いというのだよ!!――が存在するのか、どうして私たち人間のような生命が蔓延っているのか・・・。そして、どうして、私と君はこうしてであったのか」
「そんなこと分かるかよ。ヤヌスのみぞ知る、だ」
また、はじめのように不機嫌な顔になりながら、イシュトヴァーンは投げやりに云った。
「――ところでナリス」
「?」
「さっきのお前の言葉、気に食わないな」
今度はナリスの方が、開いていた書物から顔をあげ、隣に座る男の顔を見た。
「何?何が気に食わないの?」
ほう、とイシュトヴァーンは意地悪そうに口を歪ませた。
「お前、ナリス。お前の心をわくわくさせるものは、こんなヤヌスの片面のように古い本だけなのか?」
「おや、私はそんなことをいったかな?」
「云ったね。ヤーンの百の耳にかけて、云った」
「ああ。ルアーが隠れてしまったね。部屋を明るくしよう」
「逃げんのか」
慌てて立ち上がろうとするナリスの細い腕を、機敏な動きでハシッと掴む。
「明かりを、点けに行くだけだよ」
「んなもん、後でもいいだろ」
有無を言わさず彼を捕らえている腕を思い切り引いた。
「う、わぁっ――イシュト!!」
抵抗する機会を与えられぬまま、華奢な身体はすらりと逞しいイシュトヴァーンの腕の中に倒れ込んだ。
力通りに崩れ込んできたナリスに、しっかりと腕を廻し、動きを拘束する。
「い、イシュト。何を――・・・ちょっと、腕を緩めて!!」
じたばたと足掻いて見せたナリスも、結局すぐに諦めて大人しくなった。
「で?どうなんだ?」
「――嫉妬してくれるの?チチアの王子ともあろう君が」
「生憎、どこぞの我儘な王子様ほどじゃあないけどな」
「そう。それは喜んでもいいのかな?」
ナリスは楽しそうな顔で真上のイシュトヴァーンの顔を見上げた。
「さあね。でも、俺は自分のものが、他の奴に取られることが許せねぇんだ。それが例え、襤褸臭い書物でもな」
「十分、我儘のようだね、イシュトも」
「身分が低いもんでね、ケチなのさ」
云うが早いか、イシュトヴァーンは、見上げて来るナリスの唇を己のそれで乱暴に塞いだ。
「――んっ」
驚いたようにビクッと身体を震わせ、慌てて退こうとするナリスの頭をしっかりと押さえながら、角度を変えて何度も口付けた。
「離す気はさらさらねぇよ?――まあ、今さらだけどな」
「それは、こちらも同じことだよ、イシュト」
そう云って、二人は暗い部屋の中で、どちらともなくクスクスと笑いだした。









思ってたものと違う。
これ書いた当初は、いけるんじゃないかと思ったんですけどねぇ、この2人。
現在はどう?と言われると、返答に詰まる、情けない烏兎です・・・
ありだとおもいますけどね。
ヴァレ子がやけに頑張ってますからね、後々・・・
ヴァレ子に関しては、“例の本”も欲しいくらいです(←解る人には解る)
でも、また書いてもいいなぁ、と思っていたりします。(但し、修正点多。)



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